屋根裏部屋/伏見且敏

スタッフの宿泊先は古めかしくも由緒のある一軒家。コテージとして貸家になっているが、なんとこの家はカウラ初訪問時、大王先輩がホームステイをされ、お世話になった方の家だった。そして私は先輩と同じ屋根裏部屋に寝る事となった。40年近い時の流れをこの部屋で感じながら床に入る。時々、何処かの物音にビクッとしながらも様々な想いを馳せながら眠りについた。
出発の日、慰霊式を終えホストファミリーの墓参に向かう先輩。最初の晩に何を考えながら眠りについたのかを聞いてみた。それは人の心の温かさだった。私もそうだった。そして、それはこのカウラでは今も変わらない。自分達もいつまでもそうありたいと思いながら再訪問を心に誓った。
シドニーに向かう車中からは一面のキャノーラ畑。心に焼き付けた。
(カウラにて)