もう、お会い出来ないのだろうか。あれから10年くらいになるだろうか。かつて一度だけロベサルのメンバーにお世話になった。アデレード市街から遠く離れたマンナムという小さな街だった。もう、かなりの高齢であろう。こういう場合、聞くに聞けない雰囲気がある。亡くなっていたらどうしよう。そんな不安が頭をよぎるからだ。演奏会の翌日に開かれたBBQパーティー。小さなブティックワイナリーの洒落たシェルターは良い匂いに包まれて賑わっていた。すると、電動車椅子に乗った勇姿が光の向こうからやって来た。仲間がわざわざ迎えに行って来てくれたと言う。しかも、この場所は彼のお嬢さんが経営しているそうだ。ステージに立つ事は無くとも、今なお、こうしてメンバーに囲まれて生活されているのが素敵だ。私の心配をよそに何だか、ちょっとやられた気がした。絆って、こういうものなのかなぁと感心させられた。
(ロベサルにて)